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コラム④
島根県出雲市平田という町には恐怖観念しかない。ここには霊の恐ろしさしか浮かばない。

何という山か正確には知らないけれども、平田の山々の中に自衛隊の電波塔が建っている山がある、多分、摺(読み方がしゅう又はろう)木山ではないかと思う。
その中腹に銅板屋根業者が手がけた、真言宗のお寺に付随する御堂があると、業者から伺っていた。
本堂修改築のため、銅板屋根がどのようなものであるかを、妻と養母と3人で確かめにでかけた。

午後からでかけ、養母を途中で車に残し、妻と二人で歩いて捜索することにしたが、地図の示す近辺には全く建物がみつからず、一時間ばかり歩いても見つけることができなかった。
日も暮れかけたので引き返し、途中から曲がった道をもう少し先に歩いてみたらそのお寺の廃墟跡を見つけることができた。少し離れた場所に大きな納屋か薪小屋のような旧い建物があったが、案外本堂とは離れた庫裡だったのかもしれない。
目的の御堂も近くですぐに発見することができた。
般若心経一巻をお唱えして車に戻ったら中で養母がガタガタ震えて縮こまっていた。
「何かあったのか?」と尋ねると、「出た!出た!お化けが出た」と青ざめて答えるではありませんか。
聞けば、白髪の老婆が車の窓をコンコンと叩き、おいでおいでをしたのだという。「お前達が早く帰ってこないものかと気が気でなかった」
何か変な幻影でも見たのではないかと、妻も私もあまり取り合わなかった。
ところが、その5分後にいやでも霊の存在をうかがわせる現象がおきたのだ。
山を下って広いバイパスを8人乗りのバンで走っていたら急に足回りに異変を感じた。脇に停めて足回りを確認して驚いた。
タイヤがパンク状態で、なんと直径3㎝・長さ50㎝ほどもあるボルトの棒がタイヤを横に貫通していたのだ。近くにガソリンスタンドがあったので飛び込み、パンク修理を依頼したのだが、そこの若い店員も「どんな風に走ればこんな状態になるんですかね?」と最後まで解せぬ顔で修理をしていた。


しかし、言葉には出さなかったが、我々3人には当然思い当たることがあった。
「さっきの幽霊だ」3人ともゾッとした。
修理が終わると夕飯をどこかで食べるつもりだったが、とてもご飯をいただく気分にならず「早くかえろうや」ということになり、般若心経を唱えながら帰宅した。

この二年後、養母がレビー小体型認知症(認知症の10倍速度で進行、幻影が出てくる)で亡くなり、翌三年後に妻が膵臓癌で55歳の若さで亡くなった。
もしや(あの霊のしわざ)との思いが、今でもある。
※因みに妻は昭和33年1月11日生まれ
(3がダブルで1がトリプルなのだ、そして亡くなった歳が55歳で5もダブっている)